カフェでもらった“コーヒーかす”でガーデニングのためのいい土をつくろう!
- satomi
2021年4月10日の記事を編集して再掲載しています。
鉢植えの土がカッピカピ。
やせてきたなぁと思ったら土壌改良(アメンドメント)ですよ!
枯れた植物(ブラウン)に枯れてない植物(グリーン)をまぜて寝かせて発酵させて加えるとフワッフワの土に蘇りますので、カフェやお家で手軽に手に入るコーヒーかすをガーデニングに活かすコツを紹介します!
海外だけ? スタバはコーヒーかすが無料でもらえるよ
日本でも少し前まで無料配布されていましたが、海外のスターバックスでは今でも「Free Grounds for Your Garden」プログラムは健在で、コーヒー買うときに「Do you give away coffee grounds?」って聞くとこんな風に分けてくれます。
スターバックスが20年前から取り組んでいるエコプログラム、ですね。
車に染み出すかもしれないので、もらうときにはバケツやビニールのご用意を。
コーヒーかすは「ミミズ寄せパンダ」
アメリカ人がコンポスティングでコーヒーかすを使う目的はずばりミミズちゃん。コーヒーに吸い寄せられて、どこからともなく寄ってきて無茶苦茶いい土になるんです~はい~。
ミミズがパクパク食べて出した黒い土は「worm casting」といって結構なお値段で売られてます。上に置いてよし、横に置いてよし、底に置いてよし、元肥(土に混ぜる肥料)に使ってよしで、ガーデナーの間では「畑の黄金(garden gold)」と呼ばれてます。まあ、ミミズのフンなんですがね。
なぜ寄ってくるのかは謎ですが、一般には次のように言われています。
・コーヒーかす(を分解するバクテリア)がミミズの大好物
・コーヒーかすは粒が細かいので、ミミズの砂嚢に入って消化を助ける
日本でも「こんもり盛っておくとミミズがうようよ寄ってくる」そうなので万国共通の習性みたい。ちょっと不思議なのは、少々地面から距離があっても土に入ること。ジャンプするんですかね。混ぜた土に卵があるのかな。想像するだけで面白いなー。
「土が酸性になる」ってホント?
コーヒー豆は酸性なので、その辺が心配ですが、水に溶けるタイプの酸なのでコーヒー(pH5.2)に大体溶け出しちゃいます。淹れたあとの残りかすのpHバランスはpH6.5~6.8で、ほぼ中性(7)です。野菜と同じくらいのpHバランスなので、そんなに神経質になる必要はありません。使う前に水洗いすれば酸はさらに抑えられますし、気になるカフェイン(植物の成長の妨げになる)も抑制できます。
コーヒーかすはNPKの宝庫
土に必要な養分はNPKで、Nは窒素(葉肥)、Pはリン酸(実肥)、Kはカリ(根肥)、3つ合わせて「肥料の3要素」と呼ばれます。コーヒーかすにはNが2.1%、リン酸が0.3%(日本では0.2%という情報も)、カリが0.3%含まれていて理想的。ほかにも銅、マンガン、亜鉛、マグネシウムなどなど、植物の生育に必要な成分も結構含まれています。
よくある間違いその1:「土にコーヒーかすをそのまま撒く」
ただコーヒーかすは撥水性なので、そのまま植物の根元に分厚く盛るのはNGですよ! 土に水が入らなくなって枯れたり、上に水が溜まってカビの原因になります。また、コーヒーかすには発芽・発根阻害性もあるので、除草剤として畑に撒くなら◎だけど、芽の養分として与えるのは✖。
上に置くなら、ほかのマルチング材(わら、枯れ葉、バークチップ、ウッドチップなど)に混ぜて乗っけるのが鉄則です。混ぜれば、そこでバランスされるので、土中の微生物を奪ってしまう心配はありません。
コーヒーかすを混ぜると…
・なめくじ、かたつむり、ねずみ、ネコ除けになる
・アンモニア臭を抑える
・土の状態を整える
…という一石二鳥、三鳥のマルチング材に様変わりしますよ。乗せるときには、表に出ている根っこに当たらないようにするところだけ注意しましょうね。
よくある間違いその2:「土に直接コーヒーかすを混ぜる」
コーヒーかすは見た目がブラウンで土そのものですが、思いきりグリーンの部類になります。つまり植物と同類の競合関係なので、そのまま土に混ぜると根っこから窒素を奪ってしまいます(窒素飢餓)。そうならないように、発酵(コンポスト)のひと手間が必要です。
コンポストは簡単
コンポストで必要なものは次の4つです。
・ブラウン:炭素の元。枯れ葉・枯れ草・わら・もみがら・おがくず・段ボールなど
・グリーン:窒素の元。野菜くず、草など
・酸素
・水
土中の微生物が炭素をエネルギー源、窒素をたんぱく源にして増殖し、カルシウム、マグネシウム、カリウムをまとったいい肥料になります。
具体的には、ブラウン、グリーン、土少々を重ねて水で少し湿らせる(握っても水が垂れなくてお団子になる程度)、このくり返しでこんもり盛って、ときどき天地返ししながら(下から上にかき混ぜて空気を入れること)、森の香りになるまで待てばOKです。
お庭がないならバケツや段ボールで毎日切り返しながら3か月くらい寝かせます。
アメリカでは蓋つきのバケツや収納ボックスの底と上に穴を10個くらいずつ開けて、暇なときに転がすDIYタンブラーも人気です。コーヒーかすには消臭効果があるので生ごみのニオイも気になりません。
ブラウンとグリーンの配合は?
ブラウン対グリーンの配合ですが、これは4:1、3:1、2:1など、言う人によって本当にマチマチです。気温や湿度、日照時間にもよりますもんね。重量比は30:1が理想ですが、秤にかけなくても見た目でブラウン2~3に対してグリーン1ぐらいの嵩でOKと解説にはありました。
次のポイントさえ覚えれば大丈夫なので、臭うなーと思ったら枯れ草や枯れ葉のブラウンを足して、冷たいなーと思ったらグリーンを足していく要領で。
ブラウン:冷える。発酵が遅くなる。臭いを抑える
グリーン:熱くなる。発酵が早くなる。臭いが立つ
コンポストを早くする5つのコツ
3か月も待てない! という人は次の方法を試すと、早ければ数週間で腐葉土はできます。
1.大きく盛る
2.小さくちぎる
3.適度な湿り気を与える
4.たっぷり空気を入れる
5.早く分解する素材を入れる
草はジャンプして潰すって人もYouTubeにいました。「熱すれば早くなる」というのは×で、暑すぎても微生物が死んでしまいます。65℃以上になったら空気を入れて冷やすこと。
【分解が早いもの】
卵の殻、コーヒーかす、ティーバッグ(カラー印刷紙やホッチキスは×)、フルーツの皮、木くず、わら、野菜、木の葉など。バナナの皮をドロドロにしたスムージーや腐葉土を混ぜたり、初期段階の発酵を早める目的で飲み残しのソーダや砂糖を少し入れるアメリカ人もいますよ。
【分解が遅いもの】
ナッツの殻、大き目の木、枝、とうもろこしの芯など。こちらは細かく砕いて、グリーンと混ぜてやると、早く分解します。
いくらコーヒーかすがグリーンだからって、コーヒーかすだけではいい肥料はできないので、最低数種類は混ぜて菌の種類を増やすのがいいみたい。さっそく道端で踏み固められた草、茶色くなったアボカドとコンブチャスコービーのスムージー、卵の殻、野菜くず、しいたけの石づきなど混ぜて仕込みました。ワクワク。
食品ロスは世界で年間10億トン。「もったいない精神」の日本は食品廃棄量世界トップクラスです。
日本で出るコーヒーかすは年間30万トン(全日本コーヒー協会推計)で、廃棄ゴミになるのがほとんどなのだとか。燃やせば二酸化炭素、土に返せば酸素ということで、パンデミックを機にスタッフみんなで畑仕事に乗り出した「コーヒーかす使い切りカフェ」も出現しました。
実験感覚で楽しみたいですね!
Photo: satomi
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