ハイブランドの手にかかればゴミ袋すらファッションに
- 岡本玄介
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ファッションとは何ぞや?
ファッションというのはカッコ良かったり美しかったり、オシャレだったりと、比較的ポジティヴなイメージですよね。しかしその辺は、作り手であるデザイナーと受け手である消費者の感性が合致しないといけません。そこは大前提だと思うのですが、最近ファッション・ブランドのBALENCIAGA(バレンシアガ)が作ったのは…?
見た目も名前もゴミ袋
新作のバッグは「TRASH BAG LARGE POUCH」。カーフスキン(子牛の皮)製で素材は高級。ですが見た目は巾着袋型の大きなゴミ袋で、名前までゴミ袋(TRASH BAG)なんですよね。白と黒のカラバリで、どちらも21万4500円となかなかのセレブ価格です。
いろいろと線引きが難しそうですが、これをどれくらいオシャレなアイテムと感じて買う人がいるのでしょうね。ファッションはホントに奥が深いです。
痛烈に皮肉るクリエイター現る
このゴミ袋を見たであろうパリ在住のロシア人CGアーティストneondazer氏が、「メタ-アイロニーとメタモダニズムは現代ファッションの最高の友達だ」というコメントを付けて、こんなコラージュ画像を作成しました。
廃プラ材再利用という、SDGsでサステナビリティー意識の高いビーチサンダルが、バレンシアガの名の下に。しかもジャスティン・ビーバーの写真を使って、本来の意味でのアイコラ(アイドルコラージュ)まで作られてしまいました。ゴミ袋を見た後だと、マジでバレンシアガが作ったように思えてしまう。
バレンシアガは実際にエコロジーなわけではなく、エコをファッションとして消費しちゃっているのが皮肉の対象になったんですね。アートは古来より皮肉や風刺と好相性。そこも踏まえて、neondazer氏はグッジョブと言えましょう。
ファッションをゴミに見立てて炎上したカニエ・ウェスト
このゴミっぽいファッションの流れを作ったのは、遡るとカニエ・ウェストとして名を馳せたラッパーのイェに行き着くようです。
彼はGAP(ギャップ)とのコラボレで、バレンシアガのデザイナー、デムナ・ヴァザリアと作った新シリーズ「Yeezy Gap(イージー・ギャップ)」を販売する際、デッカいゴミ袋に詰め込んだ陳列方法を所望しました。お客さんは自分でゴミ袋を漁り、自分のサイズを探すのです。その着想はなんとホームレス。イェいわく、「ホームレスはすべてのデザインの最大のインスピレーション」なんですって。お金持ちの発想はブっ飛んでいますね。
Kanye West’s Yeezy Gap line displayed in trash bags at artist’s request⏩ READ MORE: https://t.co/mGnavzNXL7pic.twitter.com/Pwke7E64L6
— HipHopDX (@HipHopDX) August 16, 2022
ファッションにはワクワクがないとね
筆者がL.A.で貧乏学生をしていた大昔、月一くらいで大学の駐車場が古着市のようになっていたので、よく行っていたことを思い出しました。そこはトラックで来た大量の古着がドサーっとアスファルトの上に山積みになり、その山が何十もあるので埋立地のようでした。ですがお客さんは掘り出し物やお気に入りを探すべく、期待を胸に掘り進めるのです。古着は再利用という点でエコですし、売り手も買い手もWin-Winのイベントでした。
ホームレスからアイディアを得るのも結構ですが、古着市のように購買層が楽しくなる工夫も大事だなぁと思った次第です。マーケティングは重要ですね。
Source: Instagram (1, 2) , BALENCIAGA, Twitter via excite. ニュース, tvgroove