コーヒー屋のぼくが今年いちばん感動した「完成度が高すぎる」ドリッパー
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- シラクマ
お店で使うドリッパー、コレに買い換えました。
ライター兼コーヒーロースターという仕事柄、新しいコーヒーアイテムが出るたびに可能な限り試してみるようにしているんですが、今月発売された“あるドリッパー”が凄い完成度ですっかり虜になっています。
27度の鋭角がポイント! 新作ドリッパー
「フラワードリッパー DEEP27 」は、今月初めに発売されて瞬く間に初回分が売り切れとなった新作ドリッパー。私はたまたま初回分で購入できました。
一般的なドリッパーと違って、まるでパフェグラスのようにスッと伸びた形をしていて、HARIO(ハリオ )の「V60透過ドリッパー 01」と比べると約4cmほど高くなっています。
このドリッパーの最大の特徴は、その細長い形にも表れているようにドリッパーの底の角度が27度と鋭角になっていること。これにより、ドリッパー内のコーヒー粉の層が厚くなり、 豆本来の特徴を引き出した一杯を抽出できるようになっているんです。
そもそもコーヒーとは、焙煎したコーヒー豆をお湯に浸すことで、その豆の持つフレーバーを抽出したもの。そのため、シンプルに考えるとコーヒー粉とお湯の触れる時間が長いほど、より味のハッキリとしたコーヒーを抽出できることになります。
ハンドドリップの場合、注いだお湯がドリッパーから落ちるまでがコーヒー粉とお湯の触れる時間になるため、コーヒー粉の層を厚くするというのは、美味しいコーヒーを抽出する上で至極真っ当な考え方なんですよね。
ただ実際のところ、過抽出(味を出し過ぎてしまうこと)は豆の持つ雑味まで引き出してしまうため、その時間が長ければ長いほど良いという単純な話ではないのがコーヒーの難しいところ。
そのあたりをコーヒー好きはお湯の注ぎ方などで調整しているわけですが、「フラワードリッパーDEEP27 」はドリッパー側面に付いているリブ(溝)によって解決。一定のスピードでお湯を注ぐだけで、ちょうど良くお湯が落ちきるようにしてくれているんです。
コーヒー豆の持つフレーバーを最大限に抽出
お湯を注ぐと、クルクルと回さなくてもコーヒー粉全体にお湯が浸透していくのがわかります。一般的なドリッパーだと、端の方のコーヒー粉を使い切れていないこともありますが、径が小さいコレだとそれがない。ドリッパー内のコーヒー粉全部を使って最大限に抽出できている感じで、心地良さすら覚えます。
前情報だけだと、ネルドリップのような濃厚な味わいになるのかなと予想していましたが、実際に使ってみると味の輪郭がハッキリとしていながらも飲み心地はスッキリ。浅煎り〜深煎りまで、幅広いフレーバーを綺麗に抽出できる器用なドリッパーでした。
コーヒー好きならぜひ試してみてほしい逸品
味に関しては完璧なこちらですが、気になる点もいくつかあります。まずは、形状が特殊なため、専用のペーパーフィルターが必要だということ。専用フィルターは100枚入りで550円(税込)と一般的なものよりも高いため、ランニングコストはかかりそうです。
また1杯専用のドリッパーなので、家族や友人と飲みたいときなど、複数人でコーヒーを楽しみたいときには都度抽出する必要もあります。これはデメリットに感じる方も多いかもしれませんね。
ただ個人的には、そんなマイナスポイントも全く気にならなくなるほどのポテンシャルがこのドリッパーにはあると感じています。同じ豆を使っても、ほかのドリッパーでは感じられなかったフレーバーを引き出せる。コーヒー好きにとって、これ以上ない喜びですよね。
コーヒーホリックの方にも、コーヒーの魅力をこれからもっと知っていきたいという方にも自信を持っておすすめできる、完成度の高い新作ドリッパーでした。
Photo: シラクマ