快適に使いたかったらお金払ってね。SNSは有料の時代へ
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- Thomas Germain – Gizmodo US
- [原文]
- ( そうこ )
10月冒頭、Wall Street Journal紙が、Metaが欧州ユーザー向けに月額17ドルの広告なし版InstagramとFacebookを計画していると報じました。
ほんの数年前までは一般的にはありえないと思われていた有料SNS。気がつけば定着してきています。
今や多くのSNSが今や有料プレミアムプランを展開する、または展開する予定があるという状態に。
ネット上でミームやコメントや面白い話を見るためにはお金を払ってもいいのでは?とテック企業が舵を取り直し、多くの人がそれに同意しています。これは新しいSNS時代の幕開けと言っていいでしょう。
先日、アプリコードの中から月額4.99ドル(約740円)の広告なし有料プランの存在がリークされたTikTok。TikTokもこの報道を認めています。
ブルーのチェックマークでおなじみのXの有料プランは月額8ドル(約1,200円)。YouTubeの広告なし有料プレミアムプランは月額1,180円。Snapchatも有料プラン(日本未展開)を始めており、こちらは月額4ドル(約600円)でカスタム機能やツールを利用できます。
お金払う人っているの?
無料で使っていたのに、無料でも使えるのにわざわざお金払う人いるの?
いるんです。
イーロン・マスク氏が、Xの8ドル有料プランを発表したとき、多くの人は誰が払うのかと嘲笑していました。ですが、いざフタを開けてみたら64万人が課金。その中には24人の米議員もいました。
Snapchat有料プランのSnapchat+の登録者数は、(報道によれば)500万人。YouTubeのプレミアムプラン登録者数は昨年で8000万人。TikTokの有料プランのテスト状況は明らかになっていませんが、ポストされているコメントをみると課金OKというユーザーは少なくないようです。
InstagramとFacebookも有料サブスクプランを展開しており、特性バッジマークや限定機能などが利用できますが、登録者数は明らかになっていません。
快適さはお金で買える(買わせる)
昨今の流れは、長く続いてきたSNSのビジネスモデルを根底から覆すものです。
SNSは無料が当然で、運営元が広告で収入を得るのがメインのビジネスモデルでした。ユーザーは広告の神様に目を差し出すことによって、サービスを無料で使えていました。
アメリカには「ユーザーは客か商品かのどちらかだ」なんて言い回しがあるそうですが、今のユーザーは客であり商品でもあります。
いいものにはお金を出そう。もっといいものにはもっと出そう。その考え方はソーシャルメディアが作ったものではありません。
例えば飛行機。テック業界(SNS)とは比較にならないほど、「課金アイテム」をシビアに導入しています。ここ20年ほどで、預ける荷物の個数、重さ、座席指定に優先登場、かつては無料だったオプションが有料化されています。
消費者NPO団体が発行するコンシューマー・レポートによれば、エコノミーで最も広い座席は、1990年代の最も狭い席よりも数インチ小さくなっているといいます。乗客の財布事情をしっかり把握して、無料枠から快適さを奪うことで、お金を払わせて買わせようとしているのです。
いいものにはお金を出そうではなく、不快感をお金で解決しようの方が的確な言い方かもしれませんね。
残念ながらソーシャルメディアも航空業界のようになっていくのかもしれません。いえ、すでにそうなりつつあるのかもしれません。
無料でYouTube動画を見ようとするとき、2つも3つもスキップできない広告が表示される窮屈さを、1,000円ちょっとで解消できるとしたら…。同じく1,000円ちょっと出すことで、Xのアルゴリズム強化ができて、自分のポストをより多く見てもらえるようになるのなら…。
窮屈な空間で何時間も我慢する飛行機とは話が違うという人もいるでしょう。無料SNSは快適ではないが、不快でもないという人も少なくないでしょう。
ただ、航空業界が無料を窮屈なものにして有料オプションに誘導できているのは、1つのエアラインではなく、業界全体がその流れに乗っているからということを覚えておかねばなりません。エアラインAが窮屈だからと、エアラインBに乗っても同じことなのです。
ならば、もしSNS業界全体が有料プラン実施の波に乗れば…。無料プランと有料プランの差はより広がり、人々は有料プランを当然の選択肢として今よりもっと自然に受け入れていくでしょう。
今はまだ始まりの始まり。でも、有料SNS当たり前時代はそんなに遠くないはずです。
課金しても使いたい? X(旧Twitter)有料化はユーザーの偏りを起こしそう
課金サービスで成功しているSnapchat+。一方のXはイーロン・マスクが有料化をほのめかしているが、果たして成功できるか?
https://www.gizmodo.jp/2023/09/charge-for-x.html