仕事に集中するための、科学的に裏付けられた3つの習慣
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- ( ガリレオ )
ライフハッカー[日本版]2021年11月8日掲載の記事より転載
あなたにも、こんな経験はないでしょうか?
ページのいちばん下までたどり着いたものの、いま読んだことがまったく頭に入っていないことに気がつく。部屋に入った瞬間、そこへ何をしに来たのかさっぱり思い出せない。スマホから顔を上げて視線を戻すと、画面をスクロールしすぎてしまっていることに気づく。
これらの原因は、注意力の低下です。注意力の低下は頻繁に起こります。あまりにも頻繁に起こるため、ある研究によると、私たちは人生の半分を無駄にしているそうです。
こうした注意力の低下が仕事中に起こると、その影響は、その人をイラつかせるだけにとどまりません。その人の成功や生産性にも、大打撃をもたらしかねません。
では、いったいどうすれば、自宅やオフィスでの仕事中に注意力を維持できるのでしょうか? 神経科学の第一人者であるAmishi Jha氏は、新著『Peak Mind』の中で、その対処法を専門家の視点から解説しています。
Jha氏はまず、いいニュースを教えてくれています。Jha氏はこのように言っています。
脳が壊れているわけではありません。それどころか、メールの通知や、心の中に生じる不安などに注意を奪われてしまうのは、人間の脳の注意系がまさにそのようにできているからなのです。
人間の脳は、よく目立つ、目新しい情報に素早く注意を向けるようにできていると、Jha氏は解説しています。そのおかげで私たちの祖先は、まわりに潜む危険を警戒することができたのです。
ですが、仕事中にかかってきた電話の音などによって、大昔から続くこの反応が引き起こされてしまう場合があります。こうなると、精神エネルギーを費やして、集中力を必要な場所に引き戻さなければなりません。
集中力を注ぐべき対象はさまざまです。注意して話を聞く必要がある会話や会議。書き上げなければならないレポート。じっくり考えたほうがいい新しいアイデア……などなど。Jha氏は次のように言っています。
集中力が要求される仕事に、注意力を何度も何度も引き戻す作業は、とても疲れます。それに、目の前の仕事に注意を戻すには、そもそも意識がよそを向いていることを認識していなければなりません。
ありがたいことに、科学に裏づけられた方法を用いれば、仕事に集中できるようになります。ここからは、Jha氏が提案するその方法を3つ、みなさんにお教えしていきます。
1. マルチタスクをやめる
「マルチタスク」神話は俗説です。その名の下で実際に行なわれているのは、ただの「タスクスイッチ」です。
「focus(集中力)」という言葉が単数形である点に着目してください。Jha氏は、次のようにアドバイスしています。
集中力を懐中電灯のようなものと考えるといいでしょう。その懐中電灯を、あるひとつの仕事に当てる。当てるのをやめて、それをほかの仕事に当てる。そして、またもとの仕事に当てる。そして、また……を繰り返します。
つまり2つの懐中電灯を、2つの仕事に同時に当ててはいないのです。
全神経を集中しなければならないときは、通知機能をオフにして『モノタスク(ひとつのタスク)』に連続して取り組んだほうが、いい結果が得られます。
どうしても、注意力が要求される複数の仕事に同時に取り組まなければならない場合は、パフォーマンスに遅れが生じることを覚えておいてください。
1つの仕事から次の仕事へ再び入ることの代償のようなものと考えるといいでしょう。
2つのことを1度にこなせないことで自分を責めると、事態がさらに悪化してしまいます。単純に意識を切り替え、作業を再開するようにしましょう。
2. 「ブレインブレイク」の実践
ソーシャルメディアや、とりとめのない考えの中で迷子になってしまったとき、失くした集中力を見つけるにはどうすればいいのでしょう? 「探す」しかありません。
Jha氏は、自分の注意力の状態を確認する方法として、「STOP」を1日に何度か実践することをすすめています。
STOPとは、S=いま行なっている仕事を中断する(Stop)、T=ひと息つく(Take a breath)、O=自分の中や周囲でいま起きていることを観察する(Observe)、P=仕事を続行する(Proceed)の略語です。
Jha氏は『Peak Mind』の中で次のように述べています。
こうしたブレインブレイク(脳の小休止)を行なうことで、集中力という懐中電灯を持って目の前の仕事に戻り、その懐中電灯の光を必要な場所に当てることができます。
3. マインドフルネスで注意力を鍛える
我々は、異なったやり方で注意を払うよう、心をトレーニングすることができます。そして、そのためにマインドフルネス・トレーニングを利用すれば、気分にも仕事にもいい効果を与えることができます。
ただし、この短い12分間のマインドフルネス・トレーニングを日課として始める前に、覚えておいてほしいことがあります。それは、このトレーニングの目的は、揺るぎない集中力を身につけることではないということです。
そんなことは、まず無理です。Jha氏はこんなふうに言っています。
私たちの心は、ほかのことに気を取られるようにできています。このトレーニングでは、自分の意識がどこにあるのかに気づき、必要なときにそれを元の軌道へ戻す訓練を行ないます。
まずは、楽な姿勢で座ります。背筋を伸ばして、体の力を抜きます。ポイントは、「体の力を抜き」つつ「背筋を伸ばす」ことです。
次に、視線を下に向けるか、目を閉じるかします。どちらでもかまいません。Jha氏が提唱するマインドフルネス・トレーニングの4つのステップは、次のとおりです。
1. フォーカスする:あなたにとって、最も気がつきやすい呼吸の「感覚」を選びます。その呼吸の感覚を、あなたの注意の「ターゲット」と考えます。そうした呼吸の感覚は、胸の動きなどの「動き」かもしれません。あるいは、空気が鼻から流れ込んでくるときの、皮膚の「冷たさ」かもしれません。準備ができたら、その呼吸の感覚に集中力の懐中電灯を当てます。
2. 気がつく:あなたの心が呼吸から離れたら、そのことに気がつきましょう。あなたの焦点は、さまざまな考えや感覚、記憶に移ったかもしれません。
3. 向け直す:心が呼吸から離れていたら、シンプルに再び注意を呼吸に向け直します。
4. 繰り返す:「フォーカスする」→「気がつく」→「向け直す」を、繰り返します。
この練習は、いくらでもカスタマイズできます。注意の「ターゲット」は何でもかまいません。
たとえば、どこかへ歩いて行くときなら、歩行の感覚に意識を集中させます。歩くことについて「考える」のではありません。足が地面に触れる、動く、また地面に触れるという感覚にフォーカスします。
そして、やがてこの訓練は仕事中にも使えるようになります。
メール、ミーティング、レポート…これらはどれも交代で、注意のターゲットの役目を果たしてくれます。そのターゲットにフォーカスし、心が別のものに移っていることに気づいたら、注意を向け直すのです。
たくさんの考えが思い浮かんでくるかもしれませんが、それについて気にする必要はありません。人間の心は、考えから完全に解放されるようにはできていないのです。
マインドフルネスはしばしば、ウェルネス活動の選択肢のひとつ、あるいは精神性の探究のための手段として語られます。
注意力をめぐるJha氏の科学的研究が明らかにしているように、マインドフルネスを仕事に取り入れれば、成績やリーダーシップ、幸福にいい効果をもたらすことができます。
Jha氏が提案しているのは、逃避したり注意散漫になったりすることに代わる、科学的に裏づけられた対処法ーーつまり、「自分の存在を意識する」ということなのです。
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