不動産価格高騰中のポルトガルで投資家ビザ発給終了
- Lauren Leffer – Gizmodo US
- [原文]
- ( 岩田リョウコ )
- Tags :
- ニュース
- 住宅
- 海外
- ヨーロッパ
不動産価格高騰で地元民が困窮中。
ポルトガルには「ゴールデンビザ」と呼ばれる投資家ビザ制度があったのですが、そのビザ発給を終了すると政府の発表がありました。と同時に、Airbnbも新規の認可が禁止となりました。その背景にあるのは、不動産価格の高騰。
地元民が住めなくなる
ゴールデンビザ制度はEU加盟国以外の人が、ポルトガル国内の不動産に35万ユーロ(約5020万円)以上の投資をすることで、与えられる居住権。でもそのビザを持った外国の人たちがバンバン不動産を買って、それをAirbnbにして儲けを出していることで、地元民が家を買えなくなってきてしまうという事態に。
今回の決定について「私たちの都市をディズニーランドにするわけにはいきません。地元の人たちが住めないようでは地元の街ではなくなってしまいます」とポルトガル首相は会議で述べています。
ポルトガルは西ヨーロッパ諸国では一番貧しい国であり、どうにかして海外からのツアー客、投資などを呼び込もうと必死でした。ゴールデンビザのおかげで富裕層の中国人やアメリカ人投資家が不動産を買いにきてくれたので、これは成功!という感じだったのですが、だんだん地元民にしわよせが来てしまったわけです。
ポルトガル以外でもビザ発給停止の動き
ポルトガルの平均年間賃金はここ何十年と変わっておらず、3万ドル(約400万円)以下。2020年から2021年の平均賃金は2%ほど上昇したようですが、2022年には働く人たちの半数以上が月の収入が1,000ユーロ(約14万円)以下となってしまいました。それとは対照的に、ポルトガル最大の都市リスボンでは、賃貸の値段が1年で37%もアップ。リスボンのダウンタウンの物件の60%がAirbnbなどのレンタル物件で、国内居住の外国人は過去10年で40%も増加したそう。
2019年にポルトガル政府は国民全員に適切な住居をという法令を作ったのですが、結局は政府が外国の富裕層の迎え入れを続けていては、地元民が住む家が足りないまま。2022年10月には海外の人が、ポルトガルの最低月賃金の約4倍の収入があれば申し込めるデジタルノマドビザの配給も始めちゃってますし…。
欧米では高収入のテック業界の人たちやリモートワーカーたちが、生活費の安い海外でノマド生活をすることが増えたのですが、その代わり地元の人たちが苦労するという問題も同時に起こっています。メキシコシティにはアメリカ人が溢れていますし、それで地元民が他へ引っ越さなければいけなくなったり。地元民の抗議でゴールデンビザを発給しているポルトガル以外の国も、ビザを終了させる動きがあります。イギリスは1年前にもう終了していますし、アイルランドも今週中に終了すると伝えられています。
2030年の「住まい」を考える6つのヒント
2030年の住宅事情はどうなっているか? もっと環境への負荷が低くて、コストも安い住宅が必要になってくる。
https://www.gizmodo.jp/2021/07/environmentally-friendly-housing-in-2030.html