うんちから作ったお薬、いよいよFDA認証された!
- Ed Cara – Gizmodo US
- [原文]
- ( そうこ )
腸活、菌活の最終ゴールはこれかも。
うんち、場合によっては流してさよならしてしまうのはもったいないのかもしれません。だって、そのうんちが人類を腹痛から救う薬の原料になるかもしれないんですから。
アメリカ食品医薬品局(FDA)が、この春新たに承認した新薬「Vowst」、口から摂取する錠剤なのですが、これ人間のうんちから作られているのです。
いや、正確には人間のうんちから採取された有益なバクテリアを詰め込んだ錠剤なのです。
Vowstは、マイクロバイオーム(人間の体のなかにいる微生物たち)のバランスを整え、腸炎や下痢症の原因として一般的なクロストリジウム感染症の治療に効果があるとなっています。
腸内にはいい菌に住んでほしい
菌というとバイ菌の悪いイメージがありますが、最近では菌活などの影響でポジティブな印象が強まってきました。
有害な菌もいれば、無害または有益な菌もいて、これらの微生物が生息する環境をマイクロバイオームと呼び、中でも腸内の細菌は私たちの健康にとくに密接な関係にあるようです。
腸内フローラという言葉が一時期よく使われていましたが、まさにあれです。腸内フローラについては解明されていないことも多いのですが、抗生物質の投与などで腸内フローラが変化することで、クロストリジウム感染症を含む健康リスクが高まることはわかっています。
お腹の中にある菌が増えすぎると毒素を出し、下痢や腹痛、発熱を引き起こします。これは抗生物質で対処可能ですが、菌がすぐに復活して症状は繰り返されてしまうのが難点。とくに、お年寄りや免疫力の弱い人にはリスクの高い症状です。
菌の引っ越し方法
そこで前々から言われている方法が、健康な人の腸内環境を、お腹が痛くなりやすい人の体内で再現できないかということ。再現方法はうんちを介しての菌のお引っ越し、糞便移植療法(FMT)です。
より簡単な移植方法や治療法の拡大など、FMTについては多くの研究がされています。大腸内視鏡を使う手術での菌移植ではなく、必要な最近を錠剤で取り込む方法で効果があるかどうかも研究されてきました。
で、ついに商用利用OKの治療薬として初めてFDA認証がおりたのが、マイクロバイオーム治療薬会社のセレス・セラピューティクスとネスレ ヘルスサイエンスが共同開発したVowstです。
今回のFDA認証はアメリカとカナダでの治験がベースになっており、抗生物質を投与したあとVowstを摂取したグループは、してないグループに対してその後8週間でクロストリジウム感染症の再発が減少しました(Vowst摂取グループは12.4%だったのに対し、摂取していないグループは39.8%)。
アメリカでの認証ですが、いつか日本でも似た薬が出る日はくるのでしょうか。下痢を繰り返さないために健康なうんちから作った薬、正直めちゃ興味ありますね。
Source: FDA
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