概要
個人の遺伝情報は人間を救うのでしょうか? それとも人に不利益をもたらすものなのでしょうか?
国際的なプロジェクト「ヒトゲノム計画」は、ヒト染色体の遺伝情報をすべて解読しました。つまり「すべてのヒト細胞の設計図」が解き明かされたのです。このヒトゲノム計画によってゲノム医療の道が切り開かれ、個々の患者に適した治療計画を見つけられるようになっただけでなく、将来どのような病気にかかりやすいかを知り、長期的に健康状態を改善することも可能になりました。こうした希望が見出された一方で、ヒトゲノムの解析とゲノム医療は、企業、保険会社へのDNA情報が漏洩するリスクなど、社会に大きな問題を提起しています。わたしたちは、究極の個人情報と呼ばれる遺伝情報にどう向き合えば良いのでしょうか。
生徒はゲノム医療の発展とともに成長し、いずれ多くの人がゲノム医療を利用できる社会の一員になります。そのような社会のなかで、ゲノム医療にかかわる倫理的な問題について考えなければならなくなるときがくるはずです。
この授業では、ゲノム解析の是非やゲノム解析が社会に及ぼす良い影響と悪い影響について考察します。ゲノム医療の利点と倫理的課題についての多様な議論を通じ、これからの社会がどんなことに取り組むべきかについての視座を得ることができます。
英語版教材へのリンク:https://www.steam-library.go.jp/content/146
コンテンツ全体制作: ブリタニカ・ジャパン株式会社 https://www.britannica.co.jp
協力:ハドソンアルファ・バイオテクノロジー研究所
学習目標
知識・技能:
ヒトゲノム解析技術について、医学的な利点と社会的なリスクの両面から説明できる。
思考・判断・表現:
ゲノム医療の健全な発展のために2030年までに私たちが取り組むべきことを提案できる。
主体的に学習に取り組む態度:
第1回授業で実施した「未来の教室」 コモン・ルーブリックでの自己評価と授業最終回での自己評価を比較し、プロジェクト前後での自身の変化を指摘できる。
評価方法
各コマでの自己評価
各コマの最後で生徒が自分自身の学習活動を振り返ることができるよう、自己評価活動を設ける。
最終課題
コマ⑤の宿題として、生徒の学びを確認し、着実なものとするためにレポート課題を課す。学習目標の3観点、それぞれについて生徒個人の学習成果を確認する。
「STEAMライブラリーのリンク」
https://www.steam-library.go.jp/lectures/1047